2011年5月4日水曜日

はじめに

ケッタは東海地方の方言で、自転車のことです。
私が育った東三河では、「けったぁ」と語尾をのばして発音していました。

ろくな交通機関がない田舎では、子供の移動手段は「けったぁ」に限られていました。友達の家に行くにも、かぶとやくわがたを取りに行くときも、街の本屋に行くときも、いつも「けったぁ」を漕いでいったものです。
短い時間で長い距離を移動でき、風を切って走れる「けったぁ」に乗るのは楽しみでした。

高校生になり市の中央よりも少し南側にある高校に通うようになると、毎日「けったぁ」で通学するようになりました。初めてドロップハンドルの自転車を買ってもらったのも、この頃です。学校帰りに友達と少しばかり遠出をするようにもなりました。
伊良湖岬に行こうとして強風で前に進めなくなり蔵王山あたりでお茶を濁して帰ってきたり、浜名湖に行った帰りに本坂トンネルへの(当時の私にとって)長い坂にあえいでみたりして、自分で漕がなくても走ってくれるオートバイにあこがれるようになりました。

大学に入って一人暮らしを始めたときも自転車を持っていきましたが、免許を取ってオートバイを手に入れると自転車には全く乗らなくなってしまいました。

次に自転車を乗ったのは、社会人になってからです。
学生時代からの不摂生や喫煙ですっかり体調がおかしくなってしまったので、体力つくりのために自転車に乗ろうと当時ブームだったMTBを購入しました。
これは自分にとっては大失敗でした。オートバイのスピード感になれていたせいもありますが、ブロックタイヤの路面抵抗やアップライトなポジションによる向かい風の抵抗がきつくて重くて遅いMTBは、当時の自分にとっては全く面白くない乗り物でした。タイヤをスリックに変えたり、ドロップハンドル化したりしたものの結局は乗らなくなってしまい、引越しを機に手放してしまいました。

その次に買ったのは、ダホーンの折りたたみ自転車です。
型番は覚えていませんが3万円前後で、小径タイヤのおかげか街中ではよく走るバイクでした。が、ちょっと段差に乗り上げるとチェーンが外れてしまう欠陥がありました。隣の町にいくのに4回も5回もチェーンが外れるのはかなりストレスがたまります。
修理(なんでもBBが長さが違うものが入っていたらしい)してもチェーンが外れやすいことに変わりはなく、これまた結局処分しました。

そんなこんなでもう自転車はいいやと思っていましたが、2011年3月11日、東日本大震災が発生しました。
当日は会社から4時間半かけて徒歩帰宅、翌週早々の公共交通機関の停止、そのあとのガソリン不足を目の当たりにして、まずは代替手段としての自転車を再認識したのでした。

翌週末に西千葉の自転車屋に行き、店内につるしてあったクロスバイクのCannodale Quick 4を購入しました。そのまま佐倉まで、ガソリンスタンドから続く車の長蛇の列を横目で見ながら、自転車で走りました。
クロスバイクは、その前の2台と違って、スピード感がありしっかりと走ってくれて、楽しかった。自分としては、ひさびさに「けったぁ」を手に入れた感覚でした。

それ以来、以前のブログにも書いてますが、週末に「けったぁ」で走り回るようになりました。
このブログでは「けったぁ」で楽しんだことを伝えられたらいいなと思います。

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